理事長挨拶

理事長 真田 弘美
一般社団法人
日本創傷・オストミー・失禁管理学会

理事長 真田 弘美

当学会は、平成21年に創傷(特に褥瘡、糖尿病性足潰瘍など、生活に起因するもの)、オストミー、コンチネンス(失禁)のケアに関する学術的進歩を主眼に置いた学際的取り組みを強化することを目的に、前身の日本ET/WOC協会より学会に移行しました。現在、当学会は、医師、看護師、医学・看護学研究者、工学研究者などの様々な領域にわたる学会員で構成された学際的ネットワークを構築し、予防・ケア・治療に関する学術基盤をより強固にすることができたと確信しております。

一般社団法人に移行して4年経過し、当初掲げていた目標はほぼ達成できました。学術教育委員会では、ストーマ周囲皮膚障害の重症度を評価するツール「ABCD-Stoma®」(2012年)や、ABCD-Stoma®による採点結果から必要なケアを導き出すためのツール「ABCD-Stoma®ケア」(2014年)を完成させ、本分野の発展に寄与してまいりました。また、学会移行時より看護系学会等社会保険連合に加盟し積極的に診療報酬への提言を行っております。その結果、当学会専門領域に関連した事項としては、平成24年度「在宅患者訪問看護・指導料」「持続的難治性下痢便ドレナージ」「人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算」、平成26年度「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」の報酬が認められております。加えて、特定行為に係る看護師の研修制度への参画を学会活動として推進し、皮膚・排泄ケア認定看護師の研修支援を実施してきました。

更に学会では、会員を対象としたブラッシュアップセミナーや下部尿路症状の排尿ケア講習会等を定期的に開催しております。また、2013年からは学術集会での英語セッションの導入を致しました。これらの活動を通じて、学会では専門的技術を有する看護師のブラッシュアップを積極的に推進し、今や当専門領域は世界へ向けて発信できる学際的な力を蓄えてきたと言えます。

日本創傷・オストミー・失禁管理学会は、これまでの学術基盤を更に躍進させるステージに入ってまいりました。今年度は4つの目標のもとに活動を推進していきます。

1つ目はAcademic activitiesとしてSkin Tear(皮膚裂傷)ベストプラクティスの出版を行います。更に、Incontinence-Associated Dermatitis (失禁関連皮膚炎)のベストプラクティス作成に向けた調査を開始します。これらのAcademicな活動を通して、創傷、オストミー領域のエビデンスを基盤としたケアの普及を広く図り、療養者の生活支援を積極的に進めてまいります。

2つ目はEducationとして臨床スキンケアナース(案)教育・認定制度を開始します。加齢に伴う廃用性機能障害である皮膚統合性の障害への援助は、看護師が独自のケア技術で行える範疇です。このEducationでは、一般病棟や外来・クリニック、訪問看護などあらゆるセッティングで、スキントラブルへの援助を行う看護師が、標準的な手技をマスターしてケアの質を高めることを目指します。

3つ目はProfessional workとして、皮膚・排泄ケア認定看護師の外来活動の創設を目指します。暮らしの場における看護機能の強化の方策を達成することで、看護学専門領域におけるリーディング学会としての役割を更に強固し、世界の看護学のレベル向上に寄与できると確信しております。

4つ目はPolitical activityとして、コンチネンス領域での診療報酬獲得を見据えた活動の推進です。活動推進のために排尿ケアの教育プログラムを制度化し、ケア技術の普及を図り臨床エビデンスの蓄積を行うなどの学術的活動を継続していきます。このようなPolitical activityを推し進めることでチーム医療を推進でき、国民のQOL向上へ寄与できると確信します。

以上のような理念の下に、学術活動を通して、創傷・オストミー・失禁に関する管理を広く普及し、更に専門領域を拡大していくことを目的に、邁進することが大きく望まれております。皆様に於かれましては何卒この趣旨をご理解頂き、ご協力をお願い申し上げます。