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創傷ケア情報糖尿病足潰瘍管理
2021.03.01

糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケール(DMIST)の開発

1.DMISTとは

  • 糖尿病足潰瘍の治癒過程をモニタリングするために開発されたスケールです。DMISTは、2015年10月から2016年11月に日本創傷・オストミー・失禁管理学会将来構想検討アドホック委員会が実施した「皮膚・排泄ケア認定看護師の組織横断的活動の成果に関する調査」の糖尿病足潰瘍の創傷治癒状況のデータをもとに開発されました。

 

2.DMISTの開発経緯

  • 近年、日本とインドネシアの創傷看護学の研究者と皮膚科医らの共同研究で、ノミナルグループ法を用いて、糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケールであるDiabetic foot ulcer assessment scale (DFUAS)が開発されました。

 

  • DFUASは深さ、サイズ、サイズスコア、炎症/感染、肉芽組織の割合、壊死組織の種類、壊死組織の割合、スラフの割合、浸軟、創縁の種類、トンネルの11項目で構成され、0から98点で採点される。点数が高いほど重症であることを意味しています。

 

  • 2015年10月から2016年11月に日本創傷・オストミー・失禁管理学会将来構想検討アドホック委員会が実施した「皮膚・排泄ケア認定看護師の組織横断的活動の成果に関する調査」の中で糖尿病足潰瘍の創傷治癒状況を調査するにあたり、DFUASを使用しました。なお、DFUASを用いた当該調査の結果は、将来構想検討アドホック委員会より、日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌*に報告されています。

 

  • 糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケールの開発過程において、DFUASは、サイズや壊死組織など似た項目が複数存在しており、精選する必要性が指摘されていました。
  • そこで、今回、4週間後の治癒に対する予測妥当性を確認しながら項目を精選し、深さDepth)、浸軟Maceration)、炎症/感染Inflammation/ Infection)、サイズSize)、創底の組織の種類Tissue type of wound bed)、創縁の種類Type of wound edge)、トンネルまたはポケットTunneling or undermining)の7項目で構成されるDMISTが開発されました**。

 

  • 項目の精選過程ならびに、併存妥当性、構成概念妥当性、予測妥当性の結果は、Wound Repair and Regenerationで報告されています。なお、DFUASならびにDMISTの日本語版と英語版は、バイリンガルの皮膚科医の確認を受けながら、並行して作成しました。DMISTが創傷治癒過程の評価に関する職種や国を超えた共通言語となり、ケアのエビデンスの構築に寄与することを願っています。

 

  • * 須釜淳子, 真田弘美, 溝上祐子ほか:皮膚・排泄ケア認定看護師の組織横断的活動の成果に関する調査 第2報 創傷のアウトカムに関する前向き調査, 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌, 22(4): 366-379, 2019.
  • **大江真琴, 須釜淳子, 真田弘美ほか:糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケール(DMIST)の適用, 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌, 24(4): 401-410, 2020.

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DMIST日本語版を開発しました

DMIST日本語版

将来構想検討アドホック委員会

2021/03/01掲載

DMISTの採点方法

将来構想検討アドホック委員会

2021/03/01掲載

研究論文:皮膚・排泄ケア認定看護師の組織横断的活動の成果に関する調査 第2報 創傷のアウトカムに関する前向き調査

須釜淳子, 真田弘美, 溝上祐子ほか:皮膚・排泄ケア認定看護師の組織横断的活動の成果に関する調査 第2報 創傷のアウトカムに関する前向き調査, 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌, 22(4): 366-379, 2019.

研究論文:糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケール(DMIST)の適用

大江真琴, 須釜淳子, 真田弘美ほか:糖尿病足潰瘍治癒過程モニタリングスケール(DMIST)の適用, 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌, 24(4): 401-410, 2020.
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