皮膚・排泄ケア認定看護師について

皮膚・排泄ケア認定看護師とは

創傷・オストミー・失禁看護の分野において、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践ができる看護師のことです。WOC看護認定看護師は2007年7月より一般の皆様にもわかりやすいよう「皮膚・排泄ケア認定看護師」に名称変更されました。英語表記はこれまでと同様に「Certified Nurse in Wound, Ostomy and Continence Nursing」です。皮膚・排泄ケア認定看護師は、ケアの実践だけでなく、医師や看護師等から相談を受けたり、ケア方法について指導したりする役割があります。
それぞれのケアでどのような役割を担っているのか以下に紹介します。

W(Wound)= 創傷(きず)

皮膚のトラブルや創傷の発生を予防できるよう、皮膚を健全に保つことができるスキンケアを実施します。
また、創傷を治すために、生活環境や局所(創傷)環境、寝床(ベッドや布団など)環境などを整えるケアを行います。

たとえば…
  • 洗浄剤や保湿剤、皮膚被膜材(皮膚に被膜を作る保護材)などのスキンケア用品を選択して、テープかぶれやドライスキン(皮膚の乾燥)などの皮膚のトラブルを予防するケアや発生した皮膚のトラブルを改善するケアを提供します。
  • どのような人に褥瘡(床ずれ)が発生しやすいのか判断したり、その人の活動状況に合わせてマットレスを選択したりして、褥瘡(床ずれ)の発生を予防するケアを検討します。
  • 褥瘡(床ずれ)をはじめとする創傷(傷)を治すために、医師と相談して治療計画を検討します。

O(Ostomy)= ストーマ
(人工肛門、人工膀胱)

ストーマを造る手術を控えている方にストーマケアについて情報提供したり、ストーマを保有されている方のストーマ周囲皮膚の管理、ストーマ装具の選択、日常生活のアドバイス、精神的なサポートなどを行います。

たとえば…
  • ストーマを造る手術を控えている方の不安が軽減できるよう、ストーマ造設後の生活について説明したり、その人が手術後、ストーマ管理に困らないようストーマの位置決めを行います。
  • ストーマを造る手術の後、個々に合わせたストーマ装具を選択したり、患者さんおよびご家族にストーマ管理方法や日常生活の工夫などについて紹介したりします。
  • ストーマ周囲皮膚のかぶれやストーマ装具からの便や尿の漏れの原因を考え、対処方法を検討します。
  • ストーマを保有されている方が加齢に伴う変化に適応していけるよう、ストーマ外来で定期的に皮膚の観察をしたり、日常生活上の悩みなどの相談を受けたりします。
ストーマ外来検索

C(inContinence)=失禁(尿や便の漏れ)

病気や手術後、加齢によって発生する尿や便失禁の改善を促すケアを行います。
また、失禁による皮膚のかぶれに対する予防や改善のためのケアを行います。

たとえば…
  • 尿や便失禁がある方に適切な用品を選択し、日常生活の注意点について紹介します。
  • 尿や便失禁がある方に排泄物が接触することによる皮膚炎の予防方法や改善方法を検討します。
  • 尿や便失禁の改善に効果がある骨盤底筋体操や肥満・便秘の改善などの日常生活の注意点について紹介します。

特定行為研修を修了している
看護師のご紹介

皮膚・排泄ケア認定看護師の中には、特定行為研修を修了している認定看護師もいます。
特定行為とは、医師からの包括的な指示によって実施できる特定の診療の補助行為で、現時点では、38の行為が特定行為として認められています。この特定行為を行うために、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能を身につける特定行為研修を受けています。これによってその都度、医師の指示を待つことなく看護師の判断で迅速に対応することが可能になり、「治療」と「生活」の両面から患者さんを支えることができます。
創傷(きず)・オストミー (人工肛門・人工膀胱)・失禁(尿や便の漏れ)の領域では、創傷(きず)の壊死組織(血液が供給されない組織)の除去や傷を治す方法のひとつである陰圧閉鎖療法(いんあつへいさりょうほう)の実施などが特定行為に含まれています。