創傷ケアについて

W(Wound)= 創傷

創傷ケアのなかでも、よく起こりうる褥瘡(床ずれ)とスキン-テア(皮膚が裂けた(さけた)傷)について以下に紹介します。

褥瘡(床ずれ)

褥瘡は、同じ姿勢で過ごすことによって皮膚への血流障害がみられ発生する傷です。とくに、栄養状態が悪くやせがあり、骨が突出している人に発生しやすい傷です。
発見が遅れると筋肉や骨に達する傷となり、治るまでに長い期間を要します。
褥瘡の発生を防ぐためには、体の向きを変えたり、褥瘡予防用のマットレスを使用したり、栄養状態を整えたりするケアが大切です。

褥瘡ができると、皮膚が赤くなったり、水ぶくれになったりします。ひどくなると、皮膚がめくれてしまったり、傷の部分に血が通わなくなり、黒く硬くなってしまいます。褥瘡を治すためには、薬だけでなく、ベッドや車椅子上の環境を調整する必要があります。どのような傷でも放置せず、医師や看護師に相談するようにしましょう。

自分で体の向きを変えられなかったり、1日の大半をベッドで過ごしたりする場合は、担当のケアマネジャーや、かかりつけの診療所や病院の看護師などに相談してください。また、褥瘡が発生した場合には、かかりつけ医に診てもらうことをお勧めします。

スキン-テア(皮膚が裂(さ)けた傷)

皮膚への摩擦やずれによって皮膚が裂けた傷のことをスキン-テアと言います。加齢によって、皮膚がもろく、弱くなることで、ベッド柵や車椅子のフレームに腕や足をぶつけてしまったり、介助者が腕を持ち上げた時に皮膚をこすってしまったりすると、容易に皮膚が裂けてしまいます。
腕や足に青あざや皮膚が裂けた傷を目にすると、介助者に暴力を受けたのではないかと不安になると思いますが、日常生活の様々な援助場面で腕や足に触れる程度のわずかな刺激でも発生してしまうのがスキン-テアの特徴です。とくにむくみがあったり、皮膚の乾燥が著しい場合には、注意が必要です。
スキン-テアの発生を防ぐためには、皮膚の保湿や外力からの保護などケアの工夫が必要です。

ベッド柵でぶつけて発生したスキン-テア(写真左)と車椅子のフットレストにぶつけて発生したスキン-テア(写真右)です。このように加齢に伴い、皮膚の弾力が失われることによって、腕や足などをぶつけてしまったり、擦れる刺激によって皮膚が裂けてしまいます。

スキン-テアの予防方法や発生した後の対処については下記のパンフレットを参照してください。

あなたの皮膚は大丈夫?
弱くなった皮膚を守るためのしおり
スキン-テア(皮膚裂傷)の予防

あなたの皮膚は大丈夫?
弱くなった皮膚を守るためのしおり
スキン-テア(皮膚裂傷)の予防

PDFをダウンロード

(2015/10/15掲載)
※著作権は、日本創傷・オストミー・失禁管理学会に帰属します。そのため、許可なく営利目的で使用することを禁じます。

ドライスキン(皮膚の乾燥)

加齢に伴う生理的な変化や病気に対する治療の影響などにより、皮膚がカサカサしてドライスキンになります。
ドライスキンを放置しておくと皮膚のかぶれにつながることもあるため、皮膚の保湿を目標としたスキンケアが大切です。刺激の弱い弱酸性の洗浄剤で皮膚を洗うこと、タオルなどでゴシゴシ皮膚を擦らないようにすること、入浴後、速やかに、保湿剤を塗布することが大切です。

ドライスキンになると、このように角質が浮いてしまい、皮膚のバリア(刺激から守る)機能が損なわれ、様々な刺激を受けやすくなります。

皮膚の清潔保持や保護の方法、日常生活の中での工夫や援助について、かかりつけ医や看護師などに相談しましょう。