理事長挨拶

一般社団法人
日本創傷・オストミー・失禁管理学会
理事長 紺家 千津子

2021年の6期から、理事長を拝命いたしました。本学会は、まず諸先輩が高い志をもって日本ET/WOC協会を設立され、2009年に日本創傷・オストミー・失禁管理学会(JWOCM)に改組し、2011年には一般社団法人となりました。このように発展してきた本学会の理事長の任をお引き受けすることに、身の引き締まる思いでございます。皆様のご支援をいただきながら、微力を尽くす所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

本学会は、一般社団法人となって10年が経過しております。第1期から3期の元理事長真田弘美氏は、4つの目標(4AEPP)を掲げてABCD-Stomaケアの作成、コンチネンス領域での診療報酬の獲得、特定行為への看護師研修制度への参画、ベストプラクティス スキン-テアの発刊、会員を対象としたブラッシュアップセミナーなど多くの事業を手掛けられました。第4期から5期の前理事長田中秀子氏は、その運営を引き継がれたほかに、新たにスキンケア看護師の養成事業の開始、ICTを活用した遠隔看護支援の推進、IADベストプラクティスの発刊、外来における皮膚・排泄ケア認定看護師の実践評価などを遂行されました。本学会におけるこの10年間は、「創傷、ストーマ、失禁などの管理に関する専門領域の教育、研究、実践および医療の連携をはかり、専門知識の向上、普及に貢献し、もって社会に貢献する」という目的を達するために、事業を継承、そして発展させております。このような事業展開を行えたのは、本学会の活動に皮膚・排泄ケアの専門家だけでなく、医師、看護師、管理栄養士、理工学の研究者など様々な領域の方々が興味を持たれて学会員となっていただき、学際的ネットワークが構成されているためとも考えております。

第6期におきましても、これまでの取り組みを継承し、幅広い会員層の強みを生かしながら発展させてまいります。その1つとして、4つの目標(4AEPP)に、評価(Check)と向上(Improvement)を加え、下記のような4AEPP-CIを行う所存です。

Academic activitiesとして、我が国の細やかな実践力を国外に発信する力を養うことです。2021年に開催いたしました9th APETNAで多数の会員の発表を目指し、7年前の第23回学術集会より一般演題に英語によるオーラルセッションを設け、かつ英語サポートチームを編成し9th APETNA開催1年より英語のレッスンや発表支援を行ってまいりました。しかし、APETNAでの発表がゴールではありません。ぜひ継続し、次の国際学会開催につなげるために、本学会の学術集会では英語による発表はオーラルだけでなく、ポスター企画も加え、国外に最適なケアを目指す我が国の創傷・オストミー・失禁分野の取り組みの発信につなげてまいります。

Educationとして臨床において治療やケアに苦慮し、高齢者に多くみとめる便秘の管理方法を広めてまいります。現在、排便管理のベストプラティスの発刊までは準備が整っております。今後は、便秘対策アドホック委員会を設置し、教育プログラムの策定、さらに教育効果も検証してまいります。

Professional workとして、2017年より臨床スキンケア看護師講習会を開催し、臨床スキンケア看護師の資格認定を行っております。この資格取得後の活動をよりよく知っていただくために、地域包括ケアシステムにおける臨床スキンケア看護師活動モデルを構築し、資格取得者の活動を支援してまいります。

Political activityとして、診療報酬獲得を見据えた活動の推進です。Political activityを推し進めることにより、チーム医療を推進でき、社会に貢献できると考えております。

さらに、今回加えた要素の
Checkは、まず臨床スキンケア看護師の臨床実践の有効性の評価を行います。さらに、排便の管理実践による効果検証も行ってまいります。

Improvementは、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用した遠隔支援看護指導を推進するために、ABCD-Stomaケアの活用方法を検討し、円滑に看護指導が実践できる体制整備を行います。
このようなCI活動の成果は、4AEPPにつなげてまいります。

以上、これらの学会活動を推進し、看護学専門領域におけるリーディング学会としての役割を更に強固にしてまいります。何卒、ご支援、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。